資金調達と投資回収

資金調達について

遊休地で太陽光発電事業を行うにあたって、一つのハードルとされているのが資金調達です。
現在のところ、遊休地に50kWの太陽光発電システムを設置する際に必要となる費用はおよそ1500万円前後(土木工事費は含まず)と言われており、土地を持っていても設置が難しいという方は少なくありません。

遊休地で行う太陽光発電事業は、高額な買取価格や優遇された税制措置などが整備されているため、ほとんどのリスクの伴わない安定した事業であることは確かですが、やはりそれなりの担保を用意出来なければ、金融機関からの融資は受けられないでしょう。

ここでは、現在の太陽光発電事業を対象とした融資情報を、具体例と共に紹介していきます。

信販会社の融資

住宅用太陽光発電システムを導入する場合に多く利用されている信販会社の融資ですが、信販系では太陽光発電の信頼性は高く、会社によって異なってくるものの無担保で1,000万円~2,000万円まで融資を受けることが可能です。

個人が自身の遊休地に太陽光発電システムを導入する場合は、主に信販系の融資を活用することが多くなるでしょう。法人または個人事業主が融資を受ける場合は、組織そのものの信用ではなく、代表者の信用を基準に審査が行われます。

代表的な企業として、オリエントコーポレーション(オリコ)やアプラス、ジャックス、セディナが挙げられますが、現実的に採用するパネルメーカーの制約がないオリコやアプラスのローンが用いられることが多いと言えるでしょう。
オリコの「ecoソーラーローン」の場合、融資上限額は1,000万円、支払い回数は6回~180回、金利は固定で2.7%となっています。(2014年度)

オリコ ジャックス アプラス

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫 国民生活事業部では、新規で事業を始める方や事業を開始して間もない方を対象に無担保・無保証人で融資を行う「新創業融資制度」や、再生可能エネルギー設備を導入する中小企業を対象に融資を行う「環境・エネルギー対策資金」という融資制度を提供しています。

個人が遊休地で太陽光発電を行う予定の場合、税金控除などを考慮すると、個人事業主の開業届けと青色申告承認申請書を提出することが有効でしょう。
「新創業融資制度」を活用した場合、無担保で上限1,500万円、担保をかける場合は担保価値分を加算した額で融資を受けられるようになります。

ただし、この融資制度の適用受けるためにはその他の細かな要件をクリアしなければならないため、よく確認しなければなりません。
(詳細:日本政策金融公庫 - 新創業融資制度)

金融機関の融資

メガバンクや都市銀行、地方銀行、信用金庫といった金融機関も、太陽光発電事業に対して積極的に融資を行っています。
特に都市銀行や地方銀行の勢いは眼を見張るものがあり、太陽光発電事業に対して優遇された金利で融資を行う「ソーラーローン」を設けているところも少なくありません。

基本的に、融資はどのような相手にでも行っているというわけでなく、金融機関の内部基準を満たしているかどうかという審査を行い、合格した相手のみに実行しています。
そのため、法人の経営状況や財政状況、信用情報によっては、融資を受けることが難しいケースも多々あるため、小規模のシステムであるならば信販系の融資を活用したほうが良いでしょう。

イオン銀行

太陽光発電事業で用いられる資金調達方法

  • プロジェクトファイナンス

    事業者自身が借入を行うのではなく、特別目的会社を設立し、この会社を事業者として独立して借入を行う形式。

    事業から発生する収益と事業の持つ資産のみが返済原資となるため、親会社への債務保証は発生しません。大規模なプロジェクトにおいて用いられることが多く、小規模なプロジェクトにおいてはあまり用いられません。

  • シンジケートローン

    借入人のニーズに対して、複数の金融機関が協調してシンジケート団を組成し、一つの融資契約書に基づき同一条件で融資を行うという形式。

    シンジケートローンは、通常の銀行借入や社債の調達と比べて、自由な条件・返済スケジュールを設定出来ること、また一つの契約書で参加金融機関との取引条件(金利・期間等)を統一できるというメリットがあります。

  • アセットベーストレンディング(ABL)

    企業の事業そのものに着目し、事業に基づくさまざまな資産の価値を見極めて融資を行う形式。

    通常の融資では、多くのケースで不動産が担保になりますが、ABLでは売掛金や在庫などの流動資産や、営業用機械設備等の動産が担保になります。太陽光発電事業においては、太陽光パネルや売電収入、場合によってはメーカーの各種保証や保険、土地の借地権なども担保となります。

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