土地活用で太陽光発電地目調査 - 原野(草原など)
原野とは、耕作の方法を取らないで雑草やかん木類の生育する土地のことを指し、農地としての利用には適していないなどの理由で放置されている原っぱ等がこれに該当します。
休耕田や耕作を放棄した畑では雑草やかん木類が生い茂り、一見すると原野のように見える場合がありますが農地であることに変わりは無く、原野として取り扱われることはありません。
また、登記上では原野となっていても土地内にみかんの木や柿の木などが一本でも生育している場合は、現況地目を畑と見なすケースもあるため注意が必要です。
土地活用:原野 地目「原野」から太陽光発電
原野の多くは都市部から離れた部分に存しているため、マンション経営や駐車場経営といった人の入りが重要となる土地活用法はあまり望めません。
そのため、リゾート施設や保養施設の用地として用いられるケースが多いです。
一方、太陽光発電事業と原野は非常に相性の良い組み合わせと言えるでしょう。
南側に受光障害がなく、電力系統が近辺に有ることが前提となりますが、この条件さえクリアできれば発電を行うには最高の土地になります。
発電事業を行おうとしている原野が、市街化調整区域内や宅地造成工事規制区域内に存する場合は、開発許可や宅地造成に関する工事の許可を受ける必要があります。
また、現況地目が農地となっている場合は、農地転用許可申請の手続きが必要となります。
安全な市街地の形成と無秩序な市街化の防止を目的として、市街化を進める市街化区域と、市街化を抑制する市街化調整区域という区域区分があります。
山林の場合は、その多くが市街化調整区域に指定されていることが予測出来るため、あらかじめ把握しておくに越したことはありません。
市街化調整区域内においては、建築物の建築や特定工作物の建設を目的として「土地の区画形質の変更」が制限されており、これら開発行為を行うためには都道府県知事(指定都市・中核市・特例市の場合においては当該指定都市等の長)の許可を受けなければなりません。
市街化調整区域内に太陽光発電システムを設置するにあたってポイントとなるのは「その太陽光発電システムが建築物に該当するか否か」ということです。
公式の見解によると、メンテナンス時を除いて架台下の空間に人が立ち入らないもので、架台下の空間を屋内的用途で使用しない太陽光発電システムについては、建築基準法第二条第一項に規定する建築物に該当しないとされ、設置時の開発許可申請は不要となります。
また、パワーコンディショナを収納する専用コンテナについても、建築物には該当しないという見解が国土交通省により発表されています。 ただし、キュービクルなどについては、その用途や規模、配置や発電設備との不可分性等から、建築物に該当するかどうかは開発許可権者の判断に委ねられているため、設置の際には役所への確認を行いましょう。
宅地造成に伴い災害が生ずる恐れが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域において、宅地造成に関する工事を行うことを規制した宅地造成工事規制区域という区域区分があります。
宅地造成工事規制区域内に太陽光発電システムを設置するに際して、土地の切土や盛土を行う場合は「宅地造成に関する工事の許可申請書(届出書)」を提出しなければなりません。
ただし、都市計画法第二十九条第一項・第二項による開発許可を受けている場合は、この許可申請又は届出は不要となります。
土地の地目 | 太陽光発電システム設置の特徴 | 太陽光発電の向き/不向き |
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山林 | 耕作の方法を取らないで竹木の生育する土地。近辺の電力事情によっては困難な場合も。 |
△ (環境による) |
原野 | 耕作の方法を取らないで雑草やかん木類の生育する土地。太陽光発電事業にはうってつけの土地と言える。 | ◎ |
宅地 | 建物の敷地に使用される土地。法的制限が少なく、比較的活用しやすい。 | ◎ |
田 | 農耕地で用水を利用して耕作する土地。農地転用の手間を考慮しなければならない。 |
△ (要届出) |
畑 | 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地。農地転用の手間を考慮しなければならない。 |
△ (要届出) |
雑種地 | いずれの地目にも該当しない土地。太陽光発電事業を始めるには都合の良い土地と言える。 | ◎ |