太陽光発電に適した遊休地とは

太陽光発電システムの最適な設置環境

遊休地で太陽光発電を行うにあたって、設置環境が非常に重要となってきます。その土地がどの方角に面しているのか、気候特性や日照条件はどうかといったことはもちろん、受光障害や塩分・アンモニアによる被害はないかといった事をしっかりと把握しておく必要があります。

所有している土地の地目が宅地や雑種地である場合は何の問題もなく太陽光発電システムを設置出来ますが、これが田や畑、牧場などの農地である場合は、農地転用許可申請を行わなければなりません。山林や原野であれば樹木を伐採する必要があったり、原野であれば入念な除草作業が必要となってくるため、注意しましょう。

また、造成が必要か不要かということも大きなポイントとなります。
大規模な造成を行わなければならない場合、土やコンクリートの敷設費用や防草シートのみでも費用がかさむため、自家設置を希望する方は造成費も含めて事業予算を検討しなければなりません。

これらの事から、十分な日射量が望める土地はもちろん、近くに高層建築物や樹木がない土地、大規模な造成の必要がない更地などが、太陽光発電に適した土地と言えるでしょう。

太陽光発電を考える上での主な地目紹介

太陽光発電システムの最適な方角

一般的に、最も日射量が得られる方角は真南とされており、太陽光発電においても太陽光パネルはできる限り南向きに設置することが推奨されていますが、真南でなくても南東や南西などの南寄りであればそれほど大きく入射光の量は変化しません。

もちろん、真西や真東向きで太陽光パネルを設置するというケースもありますが、真南での日射量を100%とするとおよそ85%前後まで低下することが判明しています。
北向き設置は大幅に日射量が低下するため、太陽光発電の分野ではまず選択肢になりません。

年間日射量

太陽光発電システムに最適な設置角度

設置する方角と同様に、太陽光パネルの設置角度も大きく発電量に影響します。各メーカーや研究機関が推奨している設置角度は30度となっており、もっとも日射量が得られる角度とされています。
ただし、遊休地に太陽光発電システムを設置する場合は、耐風圧荷重の観点から10度から20度の範囲で設計されるケースがほとんどです。

設置角度

また、太陽の照射角が小さくなる冬季でも、後列のパネルに影がかからないよう設置角度を十分に検討しなければなりません。希望するシステム規模に対して設置面積が十分でない場合は、システム規模を小さくするか、または設置角度を大きくするといった手立てが必要となります。

影の長さは日ごと時間ごとに変化しますが、発電量への影響を無視出来るレベルにするには、冬至の9時における影の長さを考慮して太陽光パネルの設置角度、また前列後列の間隔を決定することが一般的です。
また、寒冷・積雪地帯においては、雪の影響を考えて背丈の高い可変式の架台を採用するなど、より高度なノウハウが必要となるでしょう。

市街化調整区域と太陽光発電

田園

市街化調整区域とは、「市街化を抑制する区域」のことを指し、区域内においては原則的に農林漁業を営む人の住宅など一定の建築物を除き一般の人は新たな開発・建築行為を行うことが出来ません。
ただし、法令で定められた建築物によっては、開発許可を受けることで開発及び建築を行うことが出来るものもあります。

従来まで、市街化調整区域においての太陽光発電システム取り扱いはいまいち明確化されていませんでしたが、2012年6月に行われた法改正によって市街化調整区域内においても太陽光発電システムを設置することが可能となりました。

太陽光発電設備(建築基準法上の建築物でないもの)の付属施設について、その用途、規模、配置や発電設備との不可分性等から、主として当該付属施設の建築を目的とした開発行為に当たらないと開発許可権者が判断した際には、都市計画法第29条の開発許可は不要である。
(詳細:国土交通省- 太陽光発電設備の付属施設に係る開発許可制度上の取扱いについて)

これによって、キュービクルやパワコン収納箱などが必要となるシステムの開発許可の取扱いが明確化されたため、設置可能か否かにかかる自治体との協議時間の短縮が可能となりました。

ただし、各自治体によって条例は異なるため、市街化調整区域に太陽光発電システムを設置する場合は事前に役所まで確認しておくことが重要です。

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