土地状況に関する法律

遊休地を開発するにあたって多く取り扱われる法律として、森林法や宅地造成等規制法、都市計画法などがあります。農地以外の地目でも、これらの法律が適用される土地においては土地の利用や開発の方法について厳しく取り決められています。

手続きに係る日数は、許可申請でおよそ3ヶ月、届出でおよそ1ヶ月と言われており、この日数を考慮して事業計画を組み立てる必要があります。
また、申請費用や行政書士等代理人への報酬なども必要となるため、予め事業予算に組み込むことも忘れないようにしましょう。

林地開発許可制度

林地開発許可制度とは、1ha以上の森林の開発を規制する日本の許可制度のこと。
保安林、保安施設地区、海岸保全区域内の森林を除く民有林において、土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為を行う場合は、この許可が必要となります。

森林は、水源のかんようや土砂災害などの防止、環境の保全といった公益的な機能を持っており、生活の安定と地域社会の健全な発展に寄与しています。
また、森林は一度破壊してしまうと原状回復が非常に難しいとされているため、森林の有する役割を阻害せず適正に開発が行われるよう、この許可制度は定められています。

林地開発許可制度の申請は、農林水産省令で定める手続に従って行わなければなりません。申請先は都道府県知事となっており、都道府県知事は以下の事項に該当しないと認める場合には、これを許可しなければならないとされています。

申請に該当してはいけない項目

  • 開発行為により、森林周辺地域において土砂の流出
    又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること
  • 森林の現に有する水害の防止の機能からみて、
    開発行為により当該機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがあること
  • 森林の現に有する水源の涵養の機能からみて、開発行為により当該機能に依存する地域における
    水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること
  • 開発行為により、森林周辺地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること
(参考:森林法第十二条のニ)

林地開発許可申請の流れ

開発行為をしようとする者が都道府県知事に林地開発許可申請を提出し、都道府県知事は都道府県森林審議会、関係市町村長への意見聴取や現地調査を基に審査をします。
その後問題がなければ許可が下り、開発行為を行うことが可能となります。

林地開発許可申請の流れ

宅地造成等規制法

宅地造成等規制法とは、宅地造成に関する工事等について必要な規制を行う法律のこと。
宅地造成には、崖崩れや土砂の流出を発生させる恐れがあり、それによって多くの人が死傷することを未然に防ぐことを目的として定められています。

宅地造成工事規制区域内にある宅地において造成工事を行う場合は、「宅地造成に関する工事の届出書」または「宅地造成に関する工事の許可申請書」を提出する必要があります。
この法律上で「宅地」とは、農地、採草放牧地、森林、公共施設用地以外の土地を指し、必ずしも居住用に用いる土地のみを指すものではありません。

宅地造成に関する工事の許可申請・届出

次の項目に該当する場合は許可が必要となります。
ただし、都市計画法による開発許可を受けている場合は、改めて許可申請を行う必要はありません。

  • 切土部で2mを超える崖を生ずるもの
  • 切土と盛土を行う場合で、2mを超える崖を生ずるもの
  • 盛土部で1mを超える崖を生ずるもの
  • 切土又は盛土をする場合で、その土地の面積が500平方メートルをこえるもの
  • 切土
  • 切盛土
  • 盛土
  • その他の造成

次の項目に該当する場合は届出が必要となります。

  • 宅地造成工事規制区域の指定の際、その区域において行われている宅地造成工事(指定の日から21日以内)
  • 高さが2mを超える擁壁又は排水施設の全部又は一部の除却工事(着工する日の14日前まで)
  • 宅地以外の土地を宅地に転用したとき(転用した日から14日以内)

宅地造成工事許可申請の流れ

造成主(工事を行うもの)が宅地造成に関する工事の届出書もしくは許可申請書を市区町村の役所にまで提出しなければなりません。申請内容に問題がなければ、都道府県知事は遅滞なく、許可又は不許可の処分をしなければなりません。

開発許可制度

開発許可制度とは、都市計画法に基いて区分された市街化調整区域において開発行為を行う際に許可を必要とする制度。
ここで言う開発行為とは、建築物の建築又は特定工作物の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更のことを指します。(都市計画法第四条第十二項)

太陽光発電システムについては、太陽光発電システム自体のメンテナンスを除いて架台下の空間に人が立ち入らないものであって、かつ、架台下の空間を屋内的用途に供しないものについては、建築基準法第二条第一項に規定する建築物に該当しないため、太陽光発電システムの設置を目的とした土地の区画形質の変更の場合、開発許可は必要ないとされています。

ただし、太陽光発電システムの付属施設については、その用途、規模、配置や発電施設との不可分性等から、主として当該付属施設の建築を目的とした開発行為に当たらないと開発許可権者が判断した場合、開発許可は不要となっているため、個々の案件毎に開発許可権者である県の担当部局に確認が必要となります。
(参考:太陽光発電設備の付属施設に係る開発許可制度上の取扱いについて)

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